一ヶ月ほど前のこと、こんな電話がきた。
「札幌市清田区里塚××条××丁目×番×号の×山×子だけど、今から不要品取りに来てくれ!」
ハイシーズンで事務員まで現場に出ていて、50人以上のスタッフが誰もいなく事務所にいるのは僕一人。
すぐに番割を確認して、清田区と豊平区・北広島市で作業している従業員に電話してもそれぞれが現場で苦戦していて、誰も急行できないと言う。
さぁ!僕は困りました。だって非通知で電話が来て電話番号も詳細も聞く前に電話を切られてしまった。
104電話番号案内でも出ていない。すぐに本社の電話を転送にして、自分で清田区里塚のお婆ちゃんのところに急行することにした。
路面状況が悪かったから40分くらいかかったが、お婆ちゃんのところに到着。
玄関フードを開けピーンポーンと鳴らすと、寒い中玄関ドアの前に立っていたらしく、いきなり玄関ドアが開いた。
最近あまり見なくなった、着物姿の老婆。無表情だ。嫌な予感がした。
しかも無表情で口を聞かず、私の作業着の袖を引き室内への誘導。
茶の間にはコタツの上に既に用意された私の分の湯気の立ったお茶。
初めて老婆が口を開いた、「そこに、かけなさい」 笑顔だった。
座ると、
「あんた電話の人だな、これが電話した不要品だ。処分代はいくらでもいい。私は歳だし来年まで生きられないんじゃないかと思う。」
差し出されたアルミの鍋の蓋を開けるとアルミの鍋の中には、小銭がたっぷり!そう鍋の中は現金だったのだ。
(後々事務所に戻ってから中を確認してから気がついたのだが、底の方は旧札や古銭がぎっしり。)
「お母さんこれはお金ですよ。いったいどうしたんですか?これはゴミでも不用品でもなく現金ですよ。ちょっとお話しましょうかぁ~。」
というと、老婆の口は、「ちょっとあんた聞いてくれるのかい?」から始まってスピードも音量もは若い人より劣るが機関銃のように話し始めた。
そして話の終盤でやっと老婆が話をしてくれたのだが、その前の週に当便利屋のI君がここのお宅の除雪に来た時に、インターフォンが鳴らなくしばらく玄関の前で待っていたらしい。そして除雪の作業後にお婆さんが可愛そうだと思い、無償でインターフォンを修理したそうです。
その時のお礼を込めてと、誰かと話したくて、また当社に電話してくれたそうだ。
I君、株式会社ルーツ・オブ・ジャパン魂が身についたね!ありがとうぉ~~!!!!!
そしてお婆ちゃん、感謝の気持ちありがとう。
僕もあったかい気持ちになりました。
結局、話し合いで無償でアルミ鍋と小銭を頂いてきたのですが、この場合の会計処理に悩んでしまう経営者の僕でした、、、、